猫とひなたぼっこ

ハイウェイローズ

つるバラのハイウェイローズが開花をはじめました↓
ハイウェイローズ
5cmくらいの小さな花が、株を覆うように咲きます>まだ3コしか咲いていませんが(^^;)
香りはほとんどなく、一重なのでバラに見えないかも・・・。オベリスクに仕立てています。

名前が分からないコ アーチにからめたコ
左は、名前の分からない濃ピンクの木立ち性のバラ。四季咲きです。
黒星病に罹り、葉っぱがずいぶん落ちてしまいました。花はこれひとつだけ(>_<)
右も名前の分からない黄色いバラ。
咲き始め黄色なのですが、開花するとオレンジ色がまじります。
アーチにからませていますが、上部ばかり繁って下が寂しいので移動を考え中・・・
アーチの反対側はショッキングブルーがからんでいるのですが、いまだ花芽をつけません。
葉のない長尺ものの株を購入して、ここまで元気だったのにどうしたのでしょう(泣)

☆追記 5/26
雨がひどく降りそうなので、黄色いバラを花瓶に活けました↓
黄色いバラ

☆追記 6/1
オレンジ色が入った状態です↓
オレンジがかってきた

【今日借りた本とCD】
・新潮世界文学37 ヘッセII 高橋健二訳 (1968年 新潮社)>『少年の日の思い出』
・江戸切絵図散歩(2002年 人物往来社)
・浅草物語 / 加太こうじ(昭和63年 時事通信社)
・シャコンヌ / 天満敦子
・Favourite Violin Pieces / VA

 客は夕方の散歩から帰って、私の書斎で私のそばにこしかけていた。昼間の明るさは消えうせようとしていた。窓の外には、色あせた湖が、丘の多い岸に鋭くふちどられて、遠くかなたまでひろがっていた。ちょうど、私の末の男の子がおやすみを言ったところだったので、私達は子供や幼い日の思い出について話し合った。
「子供ができてから、自分の幼年時代のいろいろの習慣や楽しみごとがまたよみがえってきたよ。それどころか、一年前から、ぼくはまた、チョウチョ集めをやっているよ。お目にかけようか」と私は言った。
 彼が見せてほしいと言ったので、私は収集のはいっている軽い厚紙の箱を取りにいった。最初の箱をあけて見せて初めて、もうすっかり暗くなっているのに気付き、私はランプを取ってマッチをすった。すると、たちまち外の景色はやみに沈んでしまい、窓いっぱいに不透明な青い夜色に閉ざされてしまった。
 私のチョウチョは、明るいランプの光を受けて、箱の中から、きらびやかに光かがやいた。私たちはその上にからだをかがめて、美しい形や濃い見事な色をながめ、チョウの名まえを言った。
 「これはワモンキシタバ(輪紋黄下翅)という蛾で、ラテン名はフルミネア。ここらではごく珍しいやつだ」と私は言った。
 友人は一つのチョウを、ピンのついたまま、箱の中から用心深く取り出し、羽の裏側を見た。
「妙なものだ。チョウチョを見るくらい、幼年時代の思い出を強くそそられるものはない。ぼくは小さい少年のころ情熱的な収集家だったものだ」と彼は言った。
 そしてチョウチョをまたもとの箱に戻し、箱のふたを閉じて「もう結構」と言った。
 その思い出が不愉快ででもあるかのように、彼は口ばやにそう言った。その直後、私が箱をしまってもどって来ると、彼は微笑して、巻きたばこを私に求めた。
「悪く思わないでくれたまえ」と、それから彼は言った。
「君の収集をよく見なかったけど、ぼくも子どものとき、むろん、収集していたのだが、残念ながら、自分でその思い出をけがしてしまった。実際話すのも恥ずかしいことだが、ひとつ聞いてもらおう」
 彼はランプのほやの上でたばこに火をつけ、緑色のかさをランプにのせた。すると、私たちの顔は、快いうすくらがりのなかに沈んだ。彼が開いた窓のふちにこしかけると、彼の姿は、外のやみからほとんど見わけがつかなかった。私は葉巻を吸った。外では、カエルが遠くからカン高く、やみ一面に鳴いていた。友人はそのあいだに次のように語った。
「ぼくは八つか九つのとき、チョウチョ集めを始めた。はじめは特別熱心でもなく、ただはやりだったので、やっていたまでだった。ところが、十歳くらいになった二度めの夏には、ぼくは全くこの遊戯のとりこになり、ひどく心を打ち込んでしまい、そのためにほかのことはすっかりすっぽかしてしまったので、みんなは何度もぼくにそれをやめさせなければならない、と考えたほどだった。チョウをとりに出かけると、学校の時間だろうが、お昼ご飯だろうが、耳に入らなかった。休暇になると、パンを一きれ胴乱にいれて、朝早くから夜遅くまで、食事になんか帰らないで、駆け歩くことがたびたびあった。
 今でも美しいチョウを見ると、折々あの情熱が身にしみて感じられる。そういう場合、ぼくはしばしのあいだ、子どもだけが感じることのできる、あのなんともいえぬ、むさぼるような、うっとりした感じにおそわれる。少年のころ、はじめてキアゲハにしのびよった、あのとき味わった気持ちだ。また、そういう場合、ぼくはすぐ幼い日の無数の瞬間を思い浮かべるのだ。強くにおう乾いた荒野のやきつくような昼下がり、庭の中の涼しい朝、神秘的な森のはずれの夕方、ぼくはまるで宝をさがす人のように、編みを持って待ち伏せていたものだ。そして美しいチョウを見つけると、特別珍しいのでなくたってかまわない、日なたの花にとまって、色のついた羽を呼吸とともにあげさげしているのを見つけると、捕らえる喜びに息もつまりそうになり、しだいにしのびよって、かがやいている色の斑点の一つ一つ、触覚の細いとび色の毛の一つ一つが見えてくると、その緊張と歓喜ときたら、なかった。そうした微妙な喜びと、激しい欲望との入り混じった気持ちは、その後、そうたびたび感じたことはなかった。
 ぼくの両親は立派な道具なんかくれなかったから、ぼくは自分の収集を、古いつぶれたボール紙の箱にしまっていかねばならなかった。びんのせんから切り抜いたまるいキルクを底にはりつけ、ピンをそれにとめた。こうした箱のつぶれた壁のあいだに、ぼくは自分の宝物をしまっていた。初めのうち、ぼくは自分の収集を喜んでたびたび仲間に見せたが、ほかのものはガラスのふたのある木箱や、緑色のガーゼをはった飼育箱や、その他ぜいたくなものを持っていたので、自分の幼稚な設備を自慢することなんかできなかった。それどころか、重大で、評判にもなるような発見物や獲物があっても、ないしょにし、自分の妹たちだけに見せる習慣になった。あるとき、ぼくは、ぼくらのところでは珍しい青いコムラサキを捕らえた。それを展翅し、乾いたときに、得意のあまり、せめて隣の子どもにだけは見せよう、という気になった。それは中庭の向こうに住んでいる先生のむすこだった。この少年は、非のうちどころがないという悪徳を持っていた。それは子どもとしては二倍も気味悪い性質だった。彼の収集は小さく、貧弱だったが、小ぎれいなのと、手入れの正確な点で一つの宝石のようなものになっていた。彼はそのうえ、いたんだりこわれたりしたチョウの羽をにかわでつぎあわすという、非情にむずかしい珍しい技術を心得ていた。とにかく、あらゆる点で、模範少年だった。そのため、ぼくはねたみ、嘆賞しながら彼をにくんでいた。
 この少年にコムラサキを見せた。彼は専門家らしくそれを鑑定し、その珍しいことを認め、二十ペニヒくらいの現金の価値はある、と値ぶみした。しかしそれから、彼はなんくせをつけはじめ、展翅のしかたが悪いとか、右の触覚が曲がっているとか、左の触覚が伸びているとか言い、そのうえ、足が二本かけているという、もっともな欠陥を発見した。ぼくはその欠陥をたいしたものとは考えなかったが、こっぴどい批評家のため、自分の獲物に対する喜びはかなり傷つけられ、それでぼくは二度と彼に獲物を見せなかった。
 二年たって、ぼくたちは、もう大きな少年になっていたが、ぼくの情熱はまだ絶頂にあった。そのころ、あのエーミールがヤママユガをサナギからかえしたといううわさがひろまった。今日、ぼくの知人のひとりが、百万マークを受けついだとか、歴史家リヴィウスのなくなった本が発見されたとかいうことを聞いたとしても、そのときほどぼくは興奮しないだろう。ぼくたちの仲間で、ヤママユガを捕らえたものはまだなかった。ぼくは自分の持っていた古いチョウの本のさし絵で見たことがあるだけだった。名前をしっていながら、自分の箱にまだないチョウの中で、ヤママユガほどぼくが情熱的にほしがっていたものはなかった。いくどとなくぼくは本の中のあのさし絵をながめた。ひとりの友だちはぼくにこう語った。『トビ色のこのチョウが、木の幹や岩に止まっているところを、鳥や他の敵が攻撃しようとするとチョウはたたんでいる黒みがかった前羽をひろげ、美しいうしろ羽を見せるだけだが、その大きな光る斑点は非常に不思議な思いがけぬ外観を呈するので、鳥は恐れをなして、手だしをやめてしまう』と。
 エーミールがこの不思議なチョウを持っているということを聞くと、ぼくはすっかり興奮してしまって、それが見られるときの来るのが待ちきれなくなった。食後、外出ができるようになると、すぐぼくは中庭を越えて、隣の家の四階にのぼっていった。そこに例の先生のむすこは、小さいながら自分だけの部屋を持っていた。それがぼくにはどれくらいうらやましかったかわからない。途中でぼくは、誰にも会わなかった。上にたどりついて、へやの戸をノックしたが、返事がなかった。エーミールはいなかったのだ。ドアのハンドルをまわしてみると、入口はあいていることがあった。
 せめて例のチョウが見たいと、ぼくは中に入った。そしてすぐに、エーミールが収集をしまっている二つの大きな箱を手に取った。どちらの箱にも見つからなかったが、やがて、そのチョウはまだ展翅板にのっているかもしれないと思いついた。はたしてそこにあった。トビ色のビロードの羽を細長い紙きれにはりのばされて、ヤママユガは展翅板にとめられていた。ぼくはその上にかがんで、毛のはえた赤茶色の触角や、優雅ではてしなく微妙な色をした羽のふちや、下羽の内がわのふちにある、細い羊毛のような毛などを残らす、間近からながめた。あいにくあの有名な斑点だけは見られなかった。細長い紙きれの下になっていたのだ。
 胸をどきどきさせながら、ぼくは誘惑にまけて、紙きれを取りのけ、ピンを抜いた。すると四つの大きな不思議な斑点が、さし絵のよりはずっと美しく、ずっとすばらしく、ぼくを見つめた。それを見ると、この宝を手にいれたいという逆らいがたい欲望を感じて、ぼくは生まれてはじめて盗みをおかした。ぼくは針をそっと引っぱった。チョウはもう乾いていたので、形はくずれなかった。ぼくはそれを手のひらにのせて、エーミールの部屋から持ち出した。そのときさしずめぼくは、大きな満足感のほか何も感じていなかった。
 チョウを右手にかくして、ぼくは階段をおりた。そのときだ。下のほうからだれかがぼくの方にあがってくるのが聞こえた。その瞬間にぼくの良心は目ざめた。ぼくは突然、自分は盗みをした、下劣なやつだということを悟った。同時に、見つかりはしないか、という恐ろしい不安におそわれて、ぼくは本能的に獲物を隠していた手を、上着のポケットに突っこんだ。ゆっくりとぼくは歩き続けたが、大それた恥ずべきことをしたという、つめたい気持ちにふるえていた。あがってきた女中と、びくびくしながらすれちがってから、ぼくは胸をどきどきさせ、額に汗をかき、おちつきを失い、自分自身におびえながら、家の入口に立ちどまった。
 すぐにぼくは、このチョウを持っていることはできない、持っていてはならない、元に返して、できるなら何事もなかったようにしておかなければならない、と悟った。そこで、人に出くわして見つかりはしないか、ということを極度に恐れながらも、急いで引き返し、階段を駆けあがり、一分の後にはまたエーミールのへやの中に立っていた。ぼくはポケットから手を出し、チョウを机の上においた。それをよく見ないうちに、ぼくはもうどんな不幸が起こったかということを知った。そして泣かんばかりだった。ヤママユガはつぶれてしまったのだ。前羽が一つと触角が一本なくなっていた。ちぎれた羽を用心ぶかくポケットから引き出そうとすると、羽はばらばらになっていて、つくろうことなんか、もう思いもよらなかった。
 盗みをしたという気持ちより、自分がつぶしてしまった美しい、珍しいチョウを見ているほうが、ぼくの心を苦しめた。微妙なトビ色がかった羽の粉が、自分の指にくっついているのを、ぼくは見た。それをすっかり元どおりにすることができたら、ぼくはどんな持物でも楽しみでも、よろこんで投げ出したろう。
 悲しい気持ちでぼくは家に帰り、夕方までうちの小さい庭の中にこしかけていたが、ついにいっさいを母にうちあける勇気を起こした。母は驚き悲しんだが、すでにこの告白が、どんな罰をしのぶことより、ぼくにとって、つらいことだったということを感じたらしかった。
『お前はエーミールのところに、行かねばなりません』と母はきっぱりと言った。『そして、自分でそう言わなくてはなりません。それより他に、どうしようもありません。お前の持っている物のうちから、どれかを埋め合わせによりぬいてもらうように、申し出るのです。そして許してもらうように頼まねばなりません』
 あの模範少年でなくて、ほかの友だちだったら、すぐにそうする気になれただろう。彼がぼくの言うことをわかってくれないし、おそらく全然信じようともしないだろういうことを、ぼくは前もって、はっきり感じていた。かれこれ夜になってしまったが、ぼくは出かける気になれなかった。母はぼくが中庭にいるのを見つけて、『今日のうちでなければなりません。さあ、行きなさい!』と小声で言った。それでぼくは出かけて行き、エーミールは、とたずねた。彼は出てきて、すぐに、だれかがヤママユガを台無しにしてしまった、悪いやつがやったのか、あるいはネコがやったのかわからない、と語った。ぼくはそのチョウを見せてくれと頼んだ。ふたりは上に上がっていった。彼はロウソクをつけた。エーミールがそれをつくろうために努力したあとが認められた。こわれた羽は、丹念にひろげられ、ぬれた吸取り紙の上におかれてあった。しかしそれはなおすよしもなかった。触角もやはりなくなっていた。そこで、それはぼくがやったのだと言い、詳しく話し、説明しようとこころみた。
 すると、エーミールは激したり、ぼくをどなりつけたりなどはしないで、低く、ちぇっ、と舌を鳴らし、しばらくじっとぼくを見つめていたが、それから『そうか、そうか、つまり君はそんなやつなんだな』と言った。
 ぼくは彼にぼくのおもちゃをみんなやると言った。しれでも彼は冷淡にかまえ、依然ぼくをただけいべつ的に見つめていたので、ぼくは自分のチョウの収集を全部やると言った。しかし彼は、『結構だよ。ぼくは君の集めたやつはもう知ってる。そのうえ、きょうまた、君がチョウをどんなに取り扱っているか、ということを見ることができたさ』と言った。
 その瞬間、ぼくはすんでのところであいつののどぶえに飛びかかるとことだった。もうどうしようもなかった。ぼくは悪漢だということにきまってしまい、エーミールはまるで世界のおきてを代表でもするかのように、冷然と、正義をたてに、あなどるように、ぼくの前に立っていた。ただぼくをながめて、けいべつしていた。
 そのときはじめてぼくは、一度起きたことは、もう償いのできないものだということを悟った。ぼくは立ち去った。母が根ほり葉ほり聞こうとしないで、ぼくにキスだけして、かまわずにおいてくれたことをうれしく思った。ぼくは、床におはいり、と言われた。ぼくにとってはもう遅い時刻だったが、その前にぼくは、そっと食堂に行って、大きなトビ色の厚紙の箱を取って来、それを寝台の上に乗せ、やみの中で開いた。そしてチョウチョを一つ一つ取り出し、指でこなごなにおしつぶしてしまった」

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